東京物語

三宅香帆のブログです。日々の感想やレビューなど。感想は基本的にネタバレ含むのでご注意を。

今のネットで流行る作りのアニメー『オッドタクシー』

oddtaxi.jp

Amazon.co.jp: オッドタクシーを観る | Prime Video

 

『オッドタクシー』、中盤からどんどん面白くなり、一気見。4話くらいから面白くなるので、今から見る人はぜひそのあたりまでがまんして見てほしい。

最初は、現代ぽい話を狙いすぎ説明しすぎてあんまり……と思っていたのだが。いやこれはただの文句ですが、1話の「承認欲求が」うんぬんの説明や浅い現代批評、いらなくない!? ネットでえんえんと語り尽くされた若者批判論とかばずりたい承認欲求がとかいらんよ〜浅く見えちゃうよ〜と思ってしまった。『オッドタクシー』、それこそネットでバズることをかなり狙って作られた物語に見えるので、あれくらい分かりやすくしないとだめって思ったんだろうか。

しかし途中からミステリーと伏線回収がぐんとスリリングになって、海外ドラマぽい展開に。最初は東京を動物で皮肉現代批評するドラマなのだろうか……と思って見ていたのだが、途中でこれミステリーか!! と気づき、面白くなりました(遅い)。

そして動物かわいい。Twitterで検索したらかなりファンアートが多くて、わかる! と思った。『BEASTERS』とかもだけど、擬人化動物主人公モノって、ファンアート盛り上がりやすいのだろうか。どうなんだろう。でもたくさん可愛い絵を観れるの嬉しい。

全体的に、謎の畳み掛け方、テーマの現代っぽい切り取り方、おしゃれな音楽、動物たちのデザインなど、ネットでバズることを狙いに狙った物語に見えた。そして実際面白いです。(バズることを狙うキャラを皮肉る物語がバズること狙ってるの、なんかそれこそ皮肉に感じるけど笑)。

 

あとこれも今っぽいなあと思ったのだが、全体的に心情までぜんぶ台詞になってるのでものすごくながら見しやすいなーと。

ラスボスが台詞で韻踏むキャラクターなのだが(これも仕掛けがあるのだけど)、聞き流してても、そのキャラが出てきたらぱっと目立つ、「音だけで重要なキャラってわかる」のすごい!! と感動した。

こないだ見たNHKの『コンテンツ・ラヴァーズ』って番組で、「最近はながら見できないものは視聴率が伸びない」という解説があったのだけど。『オッドタクシー』はそのあたりかなり自覚的に説明多めにしてる感じあった。それでいて物語がおしゃれなのですごい。あんまりださい感じじゃない。

www.nhk.jp

 

しかし、昔は「ながら見できないと視聴率できない」話は朝ドラの特権だったのだが。いまは普通のドラマまで…総朝ドラ時代…。ていうかむしろ朝ドラが一周まわって説明しない方向にむかってる気がする。おかえりモネやスカーレットは説明しなさで朝ドラの限界に挑むドラマだなと思ったので。

朝ドラながら見できないと当たらない話のソースはほぼ日のドラマ座談会シリーズ。探したんだけど出典みつからなかった。でも絶対喋ってるんですよ。洗濯物たたみながらみんな見るから、説明が多いのだ、って話。

ほぼ日のドラマ座談会はこれ。終わっちゃったけど地味にずっと読んでいた。

www.1101.com