京都の大学生活
北白川を南から北へ、音楽を聴きながら琵琶湖疏水のそばを歩いていくと、ニ〇分もすれば北大路通へ出る。北大路通と東大路通の交差点にはミスタードーナツがあって、僕にはそこでカフェオレを飲みながら本を読む習慣があった。試験前の勉強もそこでする程度…
京都を離れて、東京にいくことになった。 ……これからブログタイトルどうしよう。っていうとなんか他人事みたいなんだけど。 現在わたくし京都大学の大学院に所属しているのですけれど、この春から、東京で一般企業に就職することになったのですよ。あっ書く…
恩田陸の『光の帝国』という連作短編小説集の中に、「大きな引き出し」という短編がある。 特殊な能力を持った一家の話で、すごく好きな短編なのだけど、その中に「しまう」という能力が出てくる。 彼らは、いろんな芸術や文化を自分の中に「しまう」ことが…
萩尾望都の『10月の少女たち』という短編集が大好きである。 短編集といっても、小学館文庫が初期作品を集めて出したものだ。『精霊狩り』とか『みつくにの娘』といった「いかにも萩尾望都」なファンタジーやSFめいた傑作も収録されているのだけど、どちらか…
ある日、三条で人と会った帰り道、丸善にお目当ての本を買いに寄ったら、まったくお目当てではなかったはずの『ワンダーウォール』のシナリオ写真集を買ってしまった。 seikosha.stores.jp とくに買う気はなかったのになぜ買ってしまったかって、私が崇める…
今も昔も、私の「理想の女」はシェヘラザードだ。 話が面白いから殺せない女になりたいのである。 バートン版 千夜一夜物語 第1巻 シャーラザットの初夜 (ちくま文庫) 作者: 古沢岩美,大場正史 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2003/10/13 メディア: 文庫…
誰しも人生で一度は思ったことのある事実だと思うけれど、なぜいい感じに人が少なくてのんびり長居できてそんなに値段が高くない喫茶店というのはすぐになくなってしまうのだろう。 いやほんとに。何の話かって、百万遍に電源のあるカフェがほしいって話です…
ああ、ペンネームがほしかった……。と、ぶっちゃけ5分に1回ほど思う。 いや、ちがうのだ。「三宅香帆」という名前に不満があるわけではない。というか三宅香帆という名前自体は私はわりと気に入っている。読み間違えられないし。ええんちゃうのという感じで…
この世にはどうしたって物語になる人とそうでない人がいて、もっというと、物語になる物語と物語にならない物語がある。 本当だ。 いや、この世はみんながそれぞれ主人公なんだよ、という言葉もある。その主張に異を唱えようとは思わない。実際みんなそれぞ…
人生、24年目である。 正直、分からない。ここ数年、自分の年齢に全然しっくりいってない。自分がもっと年取ってていい気がするし、逆に自分がもっと若くてもいいはずだという気もする(なんて図々しい発言なんだ)。23歳とか24歳ってみんなこんなふうに微妙…
物理の研究者は頑張ったらノーベル物理賞をとれるけれど、文学の研究者は頑張ってもノーベル文学賞をとることはできない。 と、いうのは笑えるんだか笑えないんだかよく分からないジョークである。まぁ、ジョークっつーか真実なのだけど。 大学院で文学研究…
時間というものは線上に流れているものではなく、浮かんでいるものである。 と、最初に言っていたのは、だれだっただろう。 たしか恩田陸のエッセイか小説だったと思う。が、どこで読んだのか忘れてしまった。こないだ読んだ萩尾望都特集冊子に恩田陸が寄せ…
昨日の朝、がたがたっ、と私の横が揺れた。 なんじゃらほいと思って顔をあげると、揺れていたのは私の頭の前にある大きな本棚だった。 そして本が二冊ほどジャンプするみたいに、飛び出していった。 ひゃーすごい、と思うも束の間、自分も揺れていることに気…
いつだったか、森見登美彦さん原作の映画『夜は短し歩けよ乙女』を見た感想として、「すべてが無駄で埋め尽くされており、こんなにも大学生活は無駄なものでいいのかと思った」というものを見かけた。 ちょっとどなたのTwitterだったのか失念してしまったの…
このブログのコンセプトは「京都の学生生活おすそわけ♡」なはずなのだが、そろそろ本筋から外れすぎてあかんと思う今日この頃である。なんじゃ前回の文章のセブンルールて。自分でつっこむわ。いや書いてて楽しかったからいいんやけど。 しかし京大について…
世間をお騒がせしながら(したのか?)大学から立て看板が撤去された。 www.asahi.com そして現在、ぶっちゃけ、大学の周りがきれいになった。*1 正直な話、私は立て看板を立てたことも撤去したこともなく、特別な思い入れがあるかないかと言われればまぁな…
……ってのは舞城王太郎先生リスペクトな題名をつけたかっただけなのですが。すみません。*1 しかしちょうあいしてるかどうかはともかく、京都の観光地のなかで一番思い出深い場所、と聞かれたらなんだかんだ「下鴨神社かな……」と答える気がする。ちなみに一番…
友人が「今年も死んだ目をした新入生が入って来たよ~」とにこにこして言っていた。死んだ目をした新入生。「まぁ四月の最初だけは死んだ目してるよ」と友人は笑う。 そりゃそうだ。友人は某予備校で塾講師をしていて、浪人生を主に教えている。 もうそんな…
文学部に入学したみなさん、おめでとう! 就職がない*1だの社会不適合者が行くとこだのそこ出てなにすんのだの言われつつも文学部に入ってくれたあなたを、私は心から歓迎します! だって仲間が増えたんだもの! いい仲間かわるい仲間かは知らんけど! うれ…
桜の季節である。完全に今年は早かった。いつもなら入学式の段階で「わ~京都の桜きれい~♡満開だ~♡」なんて言う初々しい新入生に「ところでうちのサークルのお花見がこの週末にあるんだけど来ない?」と下手なナンパかよとつっこみたいサークルの新歓が行…
六年前、いたいけな田舎娘(私)が京大に入って驚いたのは「どうして今までそれで生きてこれたんだ……」という人間の多さであった。 どうして今までそれで生きてこれたのか。 京大というのは日本で一番自信家の多い大学である(という話を昔書いたことがある…