世の中には「インプット」型と「攻略」型がおりまして(という名の受験勉強攻略法)

友人が「今年も死んだ目をした新入生が入って来たよ~」とにこにこして言っていた。死んだ目をした新入生。「まぁ四月の最初だけは死んだ目してるよ」と友人は笑う。

そりゃそうだ。友人は某予備校で塾講師をしていて、浪人生を主に教えている。

もうそんな時期か~受験生ははじまりの季節か~と、むかし塾講師をしていた大学院生は彼らのことをぼんやり思う。

受験勉強、めんどいよな。

 

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とある京都のチョコレート屋さんにいた猫。死んだ目をしてるけどかわええ。

 

じゅけんべんきょうという久しく離れた言葉を思い返すと、「自分の強みを理解しよう」という謎の教訓が垂れ流されていたことを思い出す。今気づいたけど就活でも同じこと言われてそうだな。受験勉強するなら、きちんと戦略を立てましょう。そのために自分の強みを知って伸ばしましょう。自分の弱みを知って鍛えましょう。そう教えられる。と思う。少なくとも私はそう教えられた。子育てとかも一緒かなあ? やったことないから知らんけど。

子育てはしてないものの、私はアルバイトで個別の塾講(一対一で教える塾の先生)をしていた経験がある。その時、気がついた。何かを教えたり習得させようと思えば、その子の「強み」を理解するよりももっと、その子の「楽しさ」を理解したほうがずっと早い、ということに。

 

そもそも、強みなんて人と比べればぽろんと崩れ落ちるものである。「強みなんかないもん何もできないもん……」みたいなモードに入ってしまえばすぐに弱る。何より中高生くらいだと「個人の機嫌やモチベーションの有無」みたいなびみょ~なとこにすぐ左右されてしまう。得意教科はあくまで相対的なものでしかないというか、まぁぶっちゃけ強みって当てにならなくないか!? と塾講師をしていた時まじで思った(っていうより自分が死ぬほど得意教科と苦手教科がはっきりしていた人間だったので、得意や苦手がはっきりしている子は塾講師なんかに教えられなくても、と思ってた)。

というわけで、「強み」よりも大事なもの。それは「楽しさ」のポイントである。「楽しさ」をどこに見出すか、ということ。

楽しさ。それは国語が好きとか数学が嫌いとかそういうことじゃなくて、もっと抽象的な話だ。

 

受験勉強という同じタスクをこなしていても、「インプット」が楽しいか、「攻略」が楽しいか。これって人によって、びっくりするくらい違う。

たとえばインプット型の子は、授業時間中の雑談が好きである。雑談っつってもあれね、たとえば「数学キライかもしれないけど、元々数学って哲学からできた科目なんだよ~~」とか「芥川龍之介は頭よさげに見えるけど、案外師匠の漱石が言ったことをまんまパクッてるんだよ~~」とかそういう話。ちょっと小ネタになりそうな雑談をすると、ぱっと目を輝かせて笑う。

たとえば攻略型の子を教える時は、ゲーム形式にするとか褒める回数を増やすとかそういうことをやると、すぐにテンションが上がる。ちょっと競争心盛り立てるとか煽るとかそういうことを織り交ぜたほうが、集中する。

 

だけど雑談を攻略型の子に話すと、「知らんがな、それよりはよ授業終わらせてくれ」って顔になる。如実。大人から見るとそういう子って「知的好奇心がない!」なんて言われることが多いけどそんなことはない。休憩時間にやりたいこともあるだろうし、効率悪いことが嫌いなだけだ。そもそも関係ない話、聞く理由が見つからないもんね。

反対に、ゲーム形式をインプット型の子にしても「なんでこんな茶番やってんだ……」みたいな白けた顔をし始める。「ええ、勝負……やだ……」と萎えた表情になる。子どもがみんなゲーム好きだなんて思うなよ、って気になるよね。わかる。

 

ほとんどの子はインプットも攻略も「程度によって」楽しいと感じるものだけど、その程度がどっちのほうが上かっていうのは、人によってだいぶ違う。

難しいのが、両者の断絶。自分にとっての快楽が相手にとっての快楽ではない、ということを結構みんな知らないことである。攻略型は「えっそれは負けるのが嫌なだけでしょ? 勝てばゲーム楽しいし嬉しいでしょ?」とか言ってくるし、インプット型は「えっそれは興味持ってないだけでしょ? 興味のある分野だったら楽しいし嬉しいでしょ?」とか言ってくるものである。

ああ、断絶。楽しいことは人によってちがうんだよばかやろう!

しかし実際知識を得て嬉しいという体験も勝って嬉しいという体験もコストを払うもので、そこに行きつくまでの体力や気力やモチベーションがある前提だ。どちらに対して「そんなコストを払ってまでやりたくねぇ」と思うか「コストなんて思わないよやりたいよっ」と思うか、その差でしかない。もっかい言うけど、楽しいことは人によってちがうんだよ……。

 

ちなみに東大には攻略型、京大はインプット型が多いなーという印象。*1

あとビジネス系はやたら攻略型の煽りが多い。みんな任天堂バンダイの回し者なのかな。

さっきも言ったけれど、大抵の人間は結局オール・オア・ナッシングじゃなくて、程度の問題*2なので、自分がだいたいどの程度の比率かな~と考えてみるのは、受験生じゃなくても楽しい。暇なときにおすすめ。身の回りの他人の比率考えるのはもっと楽しいし更におすすめです。

 

というわけで受験生が読んでくれてるかどうか分からんけど、塾の先生風にまとめると、受験勉強するうえで大事なのは、自分がどっち派か見極めることだよ! そしてインプット型は息抜きに勉強に関係ある本を読むとか、攻略型は時間はかったり友達と競ったりしてちょっとゲーム要素入れるとか、そういうの取り入れてなんとかのろのろやりきることだよ、というお話です。はい。がんばってね。飽きてきたら自分の中でゲーム要素(攻略型)と雑学遊び要素(インプット型)を入れ替えてみてね。

あと、一番大事なのはむやみに「ああ自分はどっちも楽しめないから受験勉強無理だ……」とか「ゆーて受験勉強ってインプット楽しめなきゃじゃん……」とか勝手に落ち込まないことです。先生困るからね! がんばって明るく楽しく一年間生き抜こ!! がんばって!! 応援してるよ!!

 

 

こっからは完全に余談なのですが、この「人は何に楽しさを覚えるのか?」表のマッピングというのは楽しいので暇な時におすすめです。好かれるのが楽しいor好きになるのが楽しい、とかね。*3

眼の前にいる人がどういう作業が本質的に好きな人かを考えるのも、それを分類してくのも楽しいので、いつかなんか表ができたらここで出そう。みなさんもおすすめの快楽分類対立軸があれば教えてくださーい。

*1:あくまで統計採った数が段違いに異なるので、ほんとにエビデンスのない印象論ですが。まぁどっちもいます。当然。

*2:ちなみに自分はインプット型、たぶん…だって負けるのは嫌だけど、勝ってもゲーム作成者の手のひらの上にいるかんじで腹立つし「だからどうした!」って言いたくなるんだもん……ってプライド高いとこういう大人になるのでよくないね。受験生のみんなはまっとうに素直な大人になってね。

*3:恋愛好きにも攻略型(落とすのが好き)とインプット型(異性を知るのが好き)ってのがいる気がするなぁ。世にいう恋愛好きのイメージは前者に偏ってる気もするけど。どうなんでしょう。