人生の第二ステージー『オーストリア滞在記』(中谷美紀)
女優中谷美紀さんのオーストリア滞在記。とてもよかった。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団奏者の夫と結婚し、そのお子さんとも時間を過ごすようになり、オーストリアのザルツブルグでコロナ禍を過ごした日々の日記。
出てくる料理も日常も素敵だけど、こう、生活を取り戻してゆく様子が分かってそこがよかったんだよね。
若いうちからこの生活というよりは、若い頃ハードに仕事して、趣味や審美眼や生活スキルを身につけていて、そのうえでヨーロッパに渡ったからこそこの豊かさがあるというか。まさしく第二の人生っていうのかな。なんかそういう方向のエッセイってあんまり読んだことなかった気がする。そしてなにより文章が美しくて、出てくる料理や音楽が豊かで、読んでて幸せな気分になった。語学の勉強や健康習慣なども励まされた。
エッセイってもちろん鋭い視点や面白さもあると楽しいんだけど、なによりも、日常が豊かに思えることがいちばん私は求めるものだなー。豊かさのベクトルはいろいろあるけれど。
このエッセイ読んでてしみじみ思ったのが、若い頃にやるべきことと年齢重ねてから味わうべきことも違うんだよねえ……ということだった。もちろんタイミングは人それぞれだけど。
なんか、年齢重ねてからどういうふうに若い頃とは違った方向の人生歩むか、みたいな話って日本だと(最近は増えてきたけど)まだ少ない気がするので、たくさん聞きたいなー。芸人さんやってた女性が海外へ留学したニュースが取り上げられたり、セブンルールみたいないろんな年代の女性の働き方に焦点を当てた番組が放送されてたり、時代は変わってきてるのだろうけど。
安野モヨコさんの『後ハッピー・マニア』読んでても思うんだけど(突然の漫画話)、いやほんと、40歳くらいまではギリ想像できても、それ以上ってあんまり想像つかんのよ！！ それこそ親とか親戚とか身の回りの先生や上司くらい！！！ なのでサンプル数を増やしたいのです私は。ええ。
